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最高裁判所第二小法廷 昭和26年(オ)535号 判決 1953年4月24日

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告理由六及び七の所論は、結局本件土地に対する上告人の占有を否定した原判示は違法であるというに帰するが、原判決が疏明ありとした事実によれば、本件家屋は比田井鴻が建築所有し、上告人はその家族として共にこれに居住中、比田井鴻死亡し、被上告人比田井漸が家督相続により右家屋所有権を取得したというのであつて、被上告人比田井漸は右家屋に対する比田井鴻の占有権を承継したものと認むべく、従つて上告人は比田井鴻の生前は同人の家族として、その死後は被上告人比田井漸の家族として何れも、占有補助者として本件家屋に居住するものと認むべきであるから、上告人に本件家屋についての独立の占有を認め得ず従つてこれを前提とする本件土地についての上告人の独立の占有を認め難しとする原判示には違法は認められない。所論は独自の見解に基き原判示を非難するものであつて採用に値しない。その他の論旨は「最高裁判所における民事上告事件の審判の特例に関する法律」(昭和二五年五月四日法律一三八号)一号乃至三号のいずれにも該当せず、又同法にいわゆる「法令の解釈に関する重要な主張を含む」ものと認められない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 霜山精一 裁判官 栗山茂 裁判官 小谷勝重 裁判官 藤田八郎 裁判官 谷村唯一郎)

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